私は、1990年以降、建設会社の技術研究所で集合住宅の建築設備に関わる研究開発に取り組んでまいりました。
2011年の東日本大震災を経験して、大手ゼネコンの先輩から「たくさんの免震マンションを作ってきたが、大地震発生時、トイレが使えなかったら免震マンションでも在宅避難はできないよね。マンションを作ってきた者として放っておけない。経験を生かして社会に役立つ仕事をしませんか」と誘われました。
私の所属する建設会社は、マンション建設シェアではトップ企業でもあり、我々がやらなければ誰がやるという覚悟で取り組むこととしました。

 具体的には、2014年に建築設備分野の学術団体である公益社団法人空気調和・衛生工学会の住宅設備委員会のもとに震災時のトイレに関する調査研究小委員会を設置し、震災時のトイレ実態の把握、対策検討のための検証実験などを踏まえ、2020年に「災害時のトイレ使用マニュアル作成手引き」を学会HPに公開しました。小委員会には、衛生設備メーカー、シンクタンク、学識経験者、マンション管理組合役員に参画いただき、主査を私が務めました。2021年には、空気調和・衛生工学会から功績賞表彰をいただきました。

 本手引きを学会HPに公開した後、災害時のトイレ使用マニュアル普及検討小委員会の主査として、マニュアル作成の啓蒙・普及活動に取り組んできましたが、2024年3月の退職を契機に木村洋災害用トイレコンサルタントを設立し、災害時のトイレ使用マニュアルの作成支援に取り組むことといたしました。
 災害時のトイレ使用マニュアルは、処方箋のようなものです。いつ病気(災害)になっても倒れないように、自分の体(マンションの給排水設備)を理解して対応できるようにしておきましょう。
そのお手伝いをさせていただければ幸いです。

事務所概要

事務所名:木村洋災害用トイレコンサルタント
所在地:東京都武蔵野市境南町2-5-12 ファミネス武蔵境ビル2F ㈱EP&B内
設立:2024年6月1日
アクセス:JR中央線武蔵境駅徒歩2分

所属学会・団体

  • 公益社団法人空気調和・衛生工学会(SHASE)
  • におい・かおり環境学会
  • 一般社団法人室内環境学会
  • 一般社団法人日本マンション学会
  • 公益社団法人日本技術士会
  • 公益社団法人日本技術士会登録グループ企業内技術士交流会

略歴

1984年 金沢大学大学院工学研究科建設工学専攻修了
1984年 ㈱エックス都市研究所入社 水環境計画室配属
1990年 ㈱長谷工コーポレーション入社 技術研究所配属
1991年 技術士(上下水道部門)取得
2003年 千葉工業大学大学院工学研究科博士後期課程建築学専攻修了
2005年 千葉工業大学非常勤講師(~2011年)
2010年 臭気判定士取得
2014年 SHASE震災時のトイレに関する調査研究小委員会主査
2017年 SHASE集合住宅の在宅避難のためのトイレ使用方法検討小委員会主査
2020年 SHASE災害時のトイレ使用マニュアル普及検討小委員会主査
2023年 SHASE災害時のトイレ洗浄水確保検討小委員会主査
2024年3月 ㈱長谷工コーポレーション定年退職
2024年6月 木村洋災害用トイレコンサルタント設立
2024年10月 マンション防災アドバイザー(横浜市)登録

現在
木村洋災害用トイレコンサルタント代表
㈱EP&B技術部長
公益社団法人日本技術士会登録グループ企業内技術士交流会相談役
公益社団法人空気調和・衛生工学会 災害時のトイレ洗浄用水源確保検討小委員会主査
マンション防災アドバイザー(横浜市)

論文・著書

原著論文

  • マンホールトイレ用汚水桝汚物捕捉装置の開発
    空気調和・衛生工学会論文集 №.325, 2024年 4月

研究報告(連名含む)

  • マンホールトイレ用汚水桝汚物捕捉装置の開発(第1報)(第2報)
     空気調和・衛生工学会学術講演論文集 2023年
  • 集合住宅の災害時のトイレ対策に関する研究(第1報)
    空気調和・衛生工学会学術講演論文集 2022年
  • 集合住宅における災害時のトイレ使用方法の提案その1~その3
    日本建築学会大会学術講演梗概集 2021年
  • 集合住宅における災害時のトイレ使用方法の提案
    空気調和・衛生工学会学術講演論文集 2021年
  • 震災後の集合住宅排水設備点検に、通水試験が現実的か、住人によるバケツ洗浄実験
    日本建築学会大会学術講演梗概集 2020年
  • 震災時における水洗式大便器バケツ洗浄の有効性に関する実験的研究
    空気調和・衛生工学会学術講演論文集 2016年

著書(共著)

  • 災害とトイレ  一般社団法人日本トイレ協会(編) 柏書房